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   ***【ヘナと研修旅行生】***

「ふにゃ~~~ぁ。涼しいんだよ~~~」

 しばらくすると、また、お客さんが来た。
 ずっと外に居て暑かったらしく、冷房の効いた店内で、ようやく一息吐いてる感じ。

 んー……見ると、中央にある学校の制服ね。迷彩柄だから、多分軍事科(科によって制服が違うんだって。あたしは普通科のが一番好き)。

「いらっしゃいませ~」

「あっ、お邪魔してるんだよ? ちょっと店内見せてくださーい♪」

「はい、ごゆっくりどうぞ~♪」

 そう言うと、4人組の中で一番幼く見える、黒髪をツインテールにした女の子が、『にぱっ』としか表現できないような顔で笑った。うーん……妹系ね。

 他のメンバーは……みんな女の子。背が低くて目付きの鋭い子(以降『ちびっこ』)に、対照的に背が高くてオドオドした子(以降『キョドッ子』)。それから、何か掴みどころの無い微妙な笑顔を浮かべた子(以降『半笑いさん』)。
 全員、同じデザインの迷彩服。どうやら、学校の研修か何かの、同じ班の子達みたいね。

「にしても……お土産って何がいーんだろ? 南の名産ってったら、やっぱ海産物や工芸品? 砂雪はどー思う?」

 悩んだような妹キャラが、半笑いさんにそう聞くと……おもむろに、半笑いさんが妹さんを抱きしめた。うーむ、妹さんそこそこカワイイし、半笑いさんはもう、すっごい美人だし、絵にはなる。犯罪チックというか、倒錯的ではあるけど。

「そうねぇ……イリィの好きな物を買って行ってあげればいいと思うわっ♪ マイ・スイート・イリィ♪」

「あ、うん、砂雪に聞いたあたしが間違ってたんだよ。ホリーとリムは?」

 げっ、この人ガチの人か! ……と、思う間もなく、妹キャラが残った2人に話題転換した。
 ……慣れてる、っぽいわね。可哀想に。

 すると、唐突に話を振られてビクッとしつつも、キョドッ子さんが答えた。
 ……というかこのキョドッ子、見た目は完全に人間だけど、絶対に種族は違う。あたしの本能がそう訴えかけていた。『逆らっちゃいけない』、そのくらい強い種族……だと、思う。キョドッ子だけど。

「え、えっと、そうだなぁ……。でもでも、砂雪ちゃんが言うとおり、イリスちゃんの好きなの選んだらいいと思うかな? イリスちゃん、センスいいもん」

 妹っ子、ハーレムかよ。
 微笑む儚げな美少女見てその感想になるあたしもあたしだけど、この学校も学校だ。え、何? 中央の学校では、百合を推奨していたりとかすんの?

 そんなどーしようもないことを考えてると、ちびっこが口を開いた。
 このちびっこは……見れば分かる。植物系の種族だ。真っ青な髪の両側から、大輪の青い牡丹みたいな花が1輪ずつ咲いている。

「つーか、アンタの土産相手って、大体使い魔勢と職場の人でしょ? だったらもう、全力でウケを狙ったら? オラリオさんがテンパってるトコ、アタシいっぺん見たみたいんだけど」

「やめてよ人の母親で遊ぼうとすんの!!」

「大丈夫、アタシも自分の母親で遊ぶから」

「キメ顔で言わないでーーーーえぇ!!」

 成程、妹っ子は妹であると同時にツッコミなのか。頭を抱える妹っ子に同情しつつも、やっぱり、店内では静かにしてほしいわねと思った。

「じゃ、じゃあさ、逆に、みんなは? どんなの買ってくの?」

 妹っ子がついに、自分の土産選びを諦めた。……可哀想に(切実に)。

 少し考えて、まず、あの美人――もとい、半笑いさんが口を開く。
 っつーか、一々動作が色っぽいんだけど、何なのあの人。ホントに学生?

「そうねぇ……私はとりあえず家族に買って帰るから、適当に美味しい物と、ストラップかしら。あと、自分用に、こっちで美味しかったものと、思い出を感じつつ普段使えそうなものをいくつか」

 ……半笑いさんのことだから、また妹っ子を籠絡にかかるかと思ったんだけど、以外にマトモだったわね。

「フフッ、私みたいなのが要所要所でマトモな発言すると、何か面白いでしょ?」

 心、読まれたッ!? 振り向かずに言われたけど、読まれたコレ!!
 この人、見た感じ人型だけど……読心系の魔族か何か!?

 あたしの心の渦を置いてきぼりに、ちびっこも話に加わる。

「そーだなー……アタシは、あんま食べ物好きじゃないし、ジュース何本かと、……そうそう、見学したマリー農園の管理が素晴らしかったから、そこの栄養剤と害虫駆除剤も欲しいかな。あとでちょっと付き合って」

 一瞬「え?」ってなったけど、そっか、半植物人はそうよね。
 次はキョドッ子が、これまたおずおず口を出す。

「えーっとね、私も、大体は砂雪ちゃんと一緒かなぁ……。あっ、でもでも、もし良かったら、で良いんだけど、みんなでお揃いのストラップとか、買わない?」

 「そーゆーの好きなの~♪」とほんわか語る彼女の表情に、一時的に場が和む。
 しかし次の瞬間、キョドッ子は半笑いさんにガバッと抱き締められていた。

「ホリー、あんたって子は……。まさか、私とイリィにお揃いの指輪を買わせるために、そこまでしてくれるなんてっ!!」

「曲解するなぁっ!!」

 妹っ子が、半笑いさんにチョップ。
 そして半笑いさんがひるんだ所で、ちびっこがキョドッ子を救出した。……慣れ過ぎでしょ、コイツら。

「全く……イリスちゃん、班選び誤ったかも」

「安心するんだイリス、それはアタシもホリーも同意見!」

「リム!」

「イリス!!」

 ちょっとした小芝居を経て、ひしっと抱き合う妹っ子とちびっこ。そして、それを見て嫉妬の炎を燃やす半笑いさんに、必死で宥めようとするキョドッ子。
 ……カオスな班だなー……。

「とりあえずあたしは、母さんに髪留めとー……職場の人は菓子折りでいいかな。使い魔の皆には、……あっ、このストラップかわいーい♪」

「わぁ、本当だ! イリスちゃんもこれ買うの? 私もこれにしよっかなー♪」

「えっ、アタシだけ仲間はずれはダメだって! 2人が買うならアタシも買うー♪」

「勿論、イリィが買うなら私も♪」

「……砂雪、ちょっと気持ち悪い」

「超キモい」

「そういうの、やめた方が良いと私は思うかな……」

 半笑いさんが班の人に総ツッコミを喰らう。
 そして妹っ子が、レジにストラップを持って来た。

 ……ママが作ったシェルストラップだ。お目が高い。

「はいっ、お買い上げありがとうございまーす♪」

 まぁ、売り上げになるならいっか、どんなに変な人達でも!


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